


グローバルな自動車メーカーがサスティナビリティを語るとき、技術仕様や数値目標に着地しがちになる。求められたのは、フォルクスワーゲンの掲げる思想を、野沢温泉村という特定のコミュニティに根ざした「暮らしの循環」として再定義し、生活者の実感に接続することが求められた。地方のコミュニティに残る「暮らしの循環」を媒介にすることで、ブランドの未来像を抽象論ではなく体験として提示する構造が必要だった。

序盤をあえてポップで軽やかに設計し、視聴者を映像に引き込んでから、徐々にサスティナビリティの核心へ導く構成を選択した。長尺の広告的ドキュメンタリー形式を採り、語り・対談・音楽をリズム軸に据えている。現地取材を通じて物語の軸を設計し、村の人々の営みそのものを構造の骨格にした。思想を正面から掲げない。あくまで生活の延長線上に置く。その順序がロジックだった。


現地取材を重ね、物語の軸を現場から拾い直している。早朝3時の山岳撮影から街の生活風景まで、過酷な自然環境とコミュニティの内部を横断的に記録している 。冬山や街のシーンでは明るく開放的なトーンを維持しつつ、バックカントリーの場面では硬派な表現へと切り替えることで、映像に質感のコントラストをつけた 。雪山という特殊環境において、自身もプレイヤーとして出演者と同じフィールドに立ち、現場の偶発性を即興的に取り込むことで、演技ではない「セッションの熱量」を画面に定着させた 。

「最初は軽快でポップ、だが終盤にはじわじわと感動が残る」という評価を得た。ブランドのメッセージを正面から主張せず、地域コミュニティの文脈に乗せて届けるアプローチは、既視感のある企業メッセージとの差異を生み、ブランドと生活者の距離を縮める接点として機能した。
巨大ブランドの未来像を、山村の朝に重ねる。思想を抽象のまま掲げるのではなく、生活のスケールに落とす。Premiseを設計し、Structureで成立させ、Craftで支える。広告とドキュメンタリーの境界を横断するディレクションになった。
公式Webサイト・YouTubeにて公開。再生回数26万回。
























