Close-up of a brown eye looking towards a silver and black camera lens on a white background with an abstract overlay effect.
PREMISE
DESIGN
Between seeing and being seen
The distance where art begins
Visual Architecture

PREMISE DESIGN

感覚構造設計

「エモい感じで」「上質な空気感で」
——そうした感覚的な言葉が、具体的な判断に変わるとき。

それぞれのプロジェクトで、何をどう設計したか。

台本では書けない表情を、撮り逃さない体制に落とす
JNTO

LIFE CHANGING JAPAN

−30℃の知床。流氷はロケハン時にはまだ存在しなかった。ロケハンから本番まで1週間あれば、天候も地形も変わる。すべてを想像し、現地ガイドへのヒアリングと、長年の自然観察の蓄積から撮影構成を組み立てた。ガイドには演出意図を事前に共有し、「先に答えを言わないように」と伝えた。出演者が初めてその場所に立つ瞬間の反応を、そのまま撮るためだ。

ただし、ただの放置ではない。海外からの出演者にはその土地の歴史や文化を事前に伝えることもあった。知っている方が、良いリアクションが出る場面もある。シーンごとに演出の設計は変える。どんな時も自然は待ってくれない。だからこそ、現場に入る前にすべての判断を終わらせておく。

厳冬期の釧路川を朝5時前にカヌーで下り、流氷の上を歩く。僕自身も初めて見た美しい世界だった。アシスタントと2名体制。凍結リスクを織り込み済みでシネマカメラを選択し、ドローンも自ら操縦した。その一瞬を撮り逃さないための先回りの計画を、ロケハンの段階からずっと考えていた。

日本各地を横断する撮影の中でも、北海道は特に過酷だった。だがその過酷さの中にこそ、台本では書けない表情が生まれる。それを拾える体制を、撮影前に設計しておくことが、この案件の本質だった。
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Woman in a flowing red dress dancing dramatically on a weathered rooftop under a blue sky with scattered clouds.
Woman with short hair standing behind frosted glass, her eyes obscured by a horizontal line.
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6秒の直感を、1フレーム単位の設計図にする
P&G ファブリーズ

WEB広告映像

6秒。その中に「課題提示・解決・訴求」の3構成を入れ、商品を常時フレーム内に提示し続ける。従来15秒のCMで用いられる構成を、6秒で成立させるというオーダーだった。しかも1日の撮影で多数のタイプを撮りきる。1フレームも無駄にできない。
外資系企業のPPMは厳格で、「撮影現場で無理でした」は通らないし、「撮影現場で試す」のもリスクでしかない。だから先にロケハンに入り、スタジオを決めた。そのスタジオでできることを企画に載せ、Unreal Engineでスタジオを実寸再現し、プレビズを制作した。どのタイミングで何がフレームの中にいるべきか。どの構図であれば3構成が6秒で成立するか。どういう演技のどのタイミングであれば狙いが達成できるか——撮影前にすべて設計した。

CGで空間を設計し、そこにカメラを置く手法は、VFXの複雑な案件から培ったもの。自分でUnreal EngineもCGも扱えるから、CG案件でなくてもプレビズが作れる。予算がつけばクライアントと共有するが、そうでなくても自分の演出設計のために必要ならやる。自分でカメラも撮るから、プレビズの段階でカメラアングルもレンズ選定もできる。この案件ではCMカメラマンとの協業だったが、プレビズの絵をもとに打ち合わせをし、カメラの表現として成立する画角を共有した上で、そこからさらに良くしてもらっている。撮影当日、スタッフ全員が同じ画を共有した状態で現場に入る。最低限の合格点のカットは、撮影開始前にすでにできている。だからこそ、その場のチームの意見を束ねて、コンテの想定を超える方向に時間を使えた。カメラマンがアイデアに集中できる余白が生まれ、結果として1日で8タイプを完遂している。事前に全部決めるのは、現場を縛るためじゃない。現場を自由にするためだ。
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「境界の消失」を、80mの舞台構造で実装する
B'z

B'z LIVE-GYM

プロジェクションマッピングをコンサートのステージ演出に使ったアーティストは、当時世界にゼロだった。海外に建築物への事例が1〜2件あった程度で、ライブの舞台演出としては前例がない。求められたのは「まだ誰もやっていないこと」だった。
ステージの素材はアルミを選定した。プロジェクターの発色が良くなるザラついた表面処理が可能なこと、そしてモーターで横幅80mの巨大ステージを物理的に「開かせる」ギミックのために、軽量であることが必要だった。ステージデザインの初期段階から参画し、映像投影と物理的な舞台機構が同時に成立する構造を設計している。狙ったのは「錯覚」ではなく「境界の消失」だった。観客が映像と現実の区別を見失う瞬間——その感覚を成立させるために、素材の選定、CG上でのアルミ質感の完全模倣、物理ギミックとの同期、そして会場ごとに自動で補正するシステムを、すべて逆算で設計した。
全国ツアーで再現するには、毎回3時間でキャリブレーションを完了させる仕組みが不可欠だった。ステージはドーム用と通常会場用の2サイズ。全会場でステージとプロジェクターの距離が異なる。1公演前に会場図面を取得し、プロジェクターの設置位置を確定。そこからステージまでの角度と距離を計算して、映像を自動で歪ませるシステムを構築した。プロジェクターから照射される絵は歪んでいるが、マッピング面に当たった瞬間に正しい像が映る。プロジェクター側での補正を最小化することで、現場での調整時間を圧縮した。
CGは3社が協業していた。彼らには通常のステージ図面上で映像を制作してもらい、テクニカルな歪み補正は自社のCG部が担当。外部チームに負担をかけない設計にしている。コンテ、プレビズ、外部チームへのディレクション、テクニカル面での指示——すべてのハブとして機能した。
体験の設計はこうなる。客入りの段階で、観客は本物のアルミのステージを見ている。暗転。直後にアルミの質感を完璧に模した映像がステージ全面に照射される。観客はステージがそのまま残っていると錯覚する。その「動かないはずのもの」が動き出す。マッピングが終わると、ステージがセンターから割れ、逆光の中にアーティストが現れる。さっきまで目の前にあった構造物が背後に回り、別の機能を果たしている。
延べ52万人が体験した。「何を見ていたのか分からなくなった」——その反応が、設計の狙いどおりだった。
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Woman in a flowing red dress dancing dramatically on a weathered rooftop under a blue sky with scattered clouds.
Woman with short hair standing behind frosted glass, her eyes obscured by a horizontal line.
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「サスティナビリティ」を、山村の朝に翻訳する
Volkswagen × The North Face

早起きは三文の徳

グローバルな自動車メーカーがサスティナビリティを語るとき、技術仕様や数値目標に着地しがちになる。求められたのは、フォルクスワーゲンの思想を、生活者の実感に接続すること。舞台は野沢温泉村。The North Faceのライダーがこの地にいることから選ばれた場所だった。

サスティナビリティという言葉は抽象的すぎて、そのまま映像にすると説明になる。それを「感じられるもの」に変えるために、構造を二段に設計した。まず序盤をポップで軽やかに組んで視聴者を引き込み、村の暮らしの循環——早朝の山、温泉、食、人との会話——を積み重ねる。見終わったときに「これがサスティナビリティだったのか」と気づく。言葉ではなく、体験の順序で理解させる構成だ。

早朝3時の山岳撮影から街の生活風景まで、冬山という特殊環境を横断的に記録した。自分自身もスノーボードで雪山に入り、出演者と同じフィールドに立ってディレクションしている。雪山のスポーツ撮影ができるカメラマンやディレクターは存在する。ただ、広告やドキュメンタリーの演出設計を持ちながら、過酷な自然環境の中に自ら入れるという掛け算が、この案件での強みだった。自分も雪山が好きだから、アスリートが自然に対して持っているバイブスを理解できる。そのことが、演技ではない「セッションの熱量」を画面に定着させた。

巨大ブランドの未来像を、山村の朝に重ねる。思想を抽象のまま掲げるのではなく、生活のスケールに落とす。公式YouTube再生回数26万回。「最初は軽快でポップ、だが終盤にはじわじわと感動が残る」という評価を得ている。
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街の秩序を、一枚の写真に定着させる
Soup Stock Tokyo

Visual Art

「新宿の写真」という依頼だった。新宿は、日本の写真史の中で何度も撮られてきた場所だ。森山大道をはじめ、数々の名作が生まれた街。僕の師匠はその直系にいる。だから構えるところはあった。3ヶ月、街を歩き続けた。ストリートスナップを撮り、ポートレートも試した。だが風景写真をそのまま掛けても空間に意味は宿らない。問われているのは、何を撮るかではなく、この街のどの秩序を抽出するかだった。

たどり着いた構造はこうだ。新宿を歩く一人ひとりを「演者」として捉え、街全体を「舞台」として再構成する。そのために必要なのは、PhaseOneの中判デジタルによる超高解像度。巨大なプリントに引き伸ばしてもなお、群衆の中の一人ひとりのディテールが残る。建築の垂直線と人の動線が交差する瞬間を待ち、構成的に整理された一枚を仕留める。感覚的に「この街は演劇だ」と感じたことを、解像度・画角・タイミングという撮影の座標に変換した。

5〜6箇所を選定し、撮影。日本最大の大型プリンターで高精細出力。展示環境の照明色温度に合わせ、シャドウとハイライトを現場で追い込んでいる。Soup Stock Tokyo新宿店の壁面アートとして常設展示され、年度のポストカードビジュアルにも採用された。
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Woman in a flowing red dress dancing dramatically on a weathered rooftop under a blue sky with scattered clouds.
Woman with short hair standing behind frosted glass, her eyes obscured by a horizontal line.
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「良い写真」を、330回再現できる仕組みにする
酒井医療株式会社

140th RE:STORIES

創業140周年。周年記念の映像や冊子は、多くの場合「歴史の語り直し」にとどまる。創業の精神、年表、経営者のメッセージ——それらは正しいが、いま働いている人の体温は映らない。全国に分散した拠点を持つ企業において、「いまの姿」をブランド資産として可視化するには、一人ひとりの存在を同じ精度で写す構造が必要だった。

「良い写真を撮る」では設計にならない。良い写真とは何か——それを分解するところから始めた。まず場をつくる。各拠点のオフィスの一室を借り、窓に紗幕を貼り、Profotoの大光量ストロボを据える。いつもの場所が、まったく違う空気に変わる。次に人をつくる。タレント撮影で実績のあるプロのヘアメイクを帯同し、330人全員を、モデルやタレントを撮るときと同じ扱いで迎えた。メイクから空気をつくる。スタジオの空気が変わり、メイクの空気が変わると、被写体の構えが解ける。機材もプロ仕様に徹底的にこだわっている。その全部が、撮影の前提になる。

一人に30分。相手を見た瞬間に、どういう人なのかを見極めることから始める。内気なのか、明るい人なのか、緊張しているのか。その機微を感じ取って、接し方を変える。いきなり撮り始めることもあれば、仕事のことを質問したり、「どんなふうに撮られたいですか」と丁寧に聞くこともある。そうしていくと、必ずパーソナリティが出る瞬間がある。仕事に誇りがある人はその話のとき。大切なものがある人はその話のとき。その瞬間を、逃さず撮る。場をディレクションし、スタッフをディレクションし、その上で被写体と向き合う。「良い写真」という漠然とした言葉を、空間・人・機材・対話の設計に分解して、330回繰り返した。感覚を構造に変えることで、全員が主役になる仕組みをつくった。

「同じ光の中に全員がいる」という視覚的一致が、拠点を超えた組織の一体感を生んだ。写真と映像の二軸で構成された周年プロジェクトとして、社外へのブランド発信と社内の結び直しが同時に機能している。
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「リアルに撮る」を、信頼から設計する
社会福祉法人セイワ

ブランディングムービー

福祉領域の映像は、モデル起用による再現演技が主流だった。見栄えは整うが、現場を知る人には届かない。採用ブランディングとして機能させるには、制度や理念の説明ではなく、実際の仕事と感情のリアリティを提示する必要があった。出演者を全員、実際の職員と利用者で構成するドキュメンタリー形式を選んだ。

ただし「リアルに撮る」は設計にならない。リアルとは何か——それを成立させる条件を分解するところから始めた。

特別養護施設には、明るく話しかけてくる方もいれば、距離を取る方もいる。職員も同じだ。その場所に突然カメラを持ち込んで「自然に振る舞ってください」は成立しない。まず1回目は撮影しない。各施設を回り、徹底的にヒアリングした。仕事を観察させてもらいながら、職員に話を聞き、構成台本をつくっていった。何度も通い、撮っていいものとセンシティブなものを、責任あるクライアントの方々と完全に共有した。関係者の同意も、回数を重ねたからこそ取れた。そこにいる人たちがカメラを意識しないでいられる状態——それを目指して、チームへの信頼が積み上がるまで通い続けた。

撮影スタッフは最小限に絞った。カメラワークの基準は「寄りすぎない、引きすぎない」の一点。人と人のあいだにある距離感が、そのまま画角になるポジションを探り続けた。照明で状況をつくらず、自然光を基本とした。ナレーションにはプロのナレーターではなく、オーディションで選出した役者を起用。原稿を読むのではなく、職員の姿勢に憑依するように声をのせることで、言葉にも現場の体温を残した。

「自然に撮りたい」という感覚を、ヒアリングの回数、同意の構築、距離感の基準、スタッフ人数の制限、光の選択、声の設計——すべて具体的な判断に変換した。感覚を構造にしなければ、センシティブな現場ではカメラを向けることすらできない。現場の職員からは「自分たちの仕事がリアルに描かれている」という声が寄せられ、採用応募の増加につながった。映像は現在も使用されている。
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「空を見上げなくなった」感覚を、建築の中に再起動する
SUN AND MOON feat Daiwa house

Sense of wonderを呼び起こすもの

マンションのエントランスには、たいてい絵が飾ってある。でも、そこに何が飾られていたか覚えている人はほとんどいない。ダイワハウスからの依頼は、アート作家としてこの場所に何か取り組めないか、というものだった。飾られているだけで機能しないものではなく、そのマンションに住んだ意味になるものを置きたいと思った。

建築現場に立ったとき、丘の上にあって、空が広くて、月がとても綺麗に見えた。駅から帰ってくる人は、この坂道できっと月を見上げる。かつて人は太陽や月の運行を読み取りながら生きていた。その感覚は都市生活の中で必要とされなくなっただけで、消えたわけじゃない。沈んでいるだけだと思った。

帰り道に月を見上げる。その行為を、設計することにした。今日の月の形をリアルタイムで再現する照明装置をつくり、双子の建物のエントランスに設置した。天体のリズムを、住む人が毎日通る動線の中に移植した。

ある日、気がつく。嬉しい日も辛い日も、帰るあの道で月が出ている。エントランスに入って、「あ、これ今日の月の形なのか」と。一度気がついたら、月の形と自分の感覚が結びつき始める。今日なんだか元気がなかったのは、このせいだったのかな。やけに気分が良かったのは、この月の夜だったのか——人間に備わっていたはずの感覚の回路が、静かに再起動していく。

365日そこにあって、毎日少しずつ変わるもの。その感覚は引っ越しても自分のものとして残る。そのマンションに住んだ2〜3年が人生の財産になる。「エントランスに絵を飾る」を、「感覚を再起動する装置」に読み替えた。月を見上げるという行為。そこに宿る感情。その感覚を、365日機能する構造にした。それが、感覚構造設計だ。
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Start from the Premise.

企画書が固まっていなくても構いません。
構想段階の壁打ちから、演出、撮影、技術実装まで、
プロジェクトの状態に合わせて柔軟に対応します。
Night sky filled with countless stars and the Milky Way galaxy visible above a dark silhouette of trees.
Young woman in a light dress looking up against a clear blue sky.
Silhouettes of two people on a rocky hill during a colorful sunset with a starry sky.
Hand reaching towards bright sunlight with blurred green foliage in the background.

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