


イベントの記録映像は「撮って、つないで、納品する」で完結しがちだ。だが、この映像が担う役割は記録ではない。翌年のスポンサーや出展者を集めるための営業ツールとして機能する必要があった。HANEDA EXPOは毎年テーマが変わる。2023年はWEB3.0とNFTを軸にしたカルチャー色の強い構成。2024年前半はVR体験や子どもピッチなど参加型コンテンツが中心。後半は空港インフラと先端技術にシフトし、大臣登壇を含むビジネス色の強いカンファレンスとなった。同じ「HANEDA EXPO」でも、毎回空気がまったく違う。その空気の違いを正確に映像に落とし込まなければ、来年の出展者候補に「自分たちが出るべきイベントだ」と思わせることはできない。
撮影前に決めるのは画角ではなく、「この映像は誰に届いて、何を決断させるか」。

各回のテーマと客層を分析し、撮影の重心と編集の構成方針を事前に設計した。
2023年(WEB3.0):NFTアートやブロックチェーン関連のプロダクト展示が中心。カルチャー色の強さを活かし、作品を押し出す撮影と、業界の空気感が伝わる編集構成を選択した。
2024年前半(体験型):VR、子どもピッチ、感覚系ブース。来場者が楽しんでいる姿、体験の中で表情が変わる瞬間を主軸に、アクションと参加感を重視した構成。
2024年後半(インフラ・ビジネス):AI搭載ロボット、ローカル5G、次世代モビリティ。大臣登壇を含むカンファレンスが増え、硬めのトーンに。各ブースが「何のビジネスをしている会社か」を映像内テロップで補足し、出展内容の理解速度を上げる構成とした。
共通しているのは、「このイベントに出れば、こういう企業・人と出会える」という判断材料を映像の中に組み込んでいること。記録ではなく、次の出展を促すコミュニケーション設計。


映像演出・撮影・編集を一貫して担当。各回ごとに撮影の優先順位を事前に整理し、限られた会期の中で必要なカットを確実に押さえた。
WEB3.0回では作品の質感とスケール感を伝えるクローズアップと、来場者の反応を交互に組む編集で、カルチャーとしての熱量を描写。体験型回では、ブースでのインタラクションや子どもの表情を軸に、テンポの速い編集で「参加したくなる」空気をつくった。ビジネス回では、カンファレンスの要点を構造的に抽出し、テロップと映像の情報レイヤーを重ねることで、短尺でも出展企業の全体像が掴める構成に仕上げている。
2年間の継続的な関わりの中で、イベントの進化——カルチャーからインフラへ——を映像トーンの中にも蓄積させている。

映像は公式アーカイブおよび広報・営業媒体に使用され、翌年の出展者・スポンサー獲得を支えるビジュアル資産として機能。2年連続で制作を担当し、2025年も継続して携わっている。
テーマと客層が毎年変わるイベントに対し、撮影設計と編集構成をその都度更新しながら、「HANEDA EXPO」というブランド全体のトーンは一貫して維持する——その両立が、継続の根拠になっている。
























