


百貨店のフェミニンブランドは、華やかさを見せようとするほど「甘さ」に寄っていく。だが、Maglieが選ばれている理由はそこではない。フィット&フレアのシルエット精度と、素材そのものの品位。「甘くなりすぎない」ことが、このブランドの核心だった。最初の撮影で定めるべきは、その品位をどのトーンで画に定着させるかだった。
縫い目のラインが1mm変わると、シルエットの印象が変わる。その差異が写真に残る距離で撮る。それがMaglieとの最初の約束だった。

華やかさを引き算する方向で画の基準を設計した。装飾を主役にしない。服の構造線——ウエストの絞り、裾の広がり、肩の落ち方——がそのまま画面の骨格になる構成を選択。陰影の比率と余白の配分で「品位」のトーンを固定した。色味はブランドの持つ上質感を損なわない範囲に統一し、全カットを通じて散らさない。


各ルックごとにハウススタジオでの自然光を生かしつつ、多数の照明を使用して設計。素材の質感——ツイードの粒立ち、レースの透過、ニットの肉厚さ——が正確に伝わる光を組んだ。グレーディングでは淡色の階調を精密に保ちつつ、彩度を上げるのではなく光の質を整えることで「明るいが落ち着いている」というトーンに着地。ブランドが持つ「甘くない上質さ」を、写真のトーンとして定義した。

Web・チラシ・ポップ・店頭カタログ・SNSと横断的に展開。この初年度で確立したトーン——華やかさを引き算して品位を残す——が、以降のシーズンにおけるビジュアル設計の基準線となった。Maglieとは2023年から4年目に入る継続撮影を担当しており、2026年も撮影が続いている。
























