


アウトドアブランドのメッセージは、演出が過剰になった瞬間に生活者との距離が生まれる。求められていたのは「自然を舞台として利用する」視点ではなく、「自然と遊ぶ」という姿勢をそのまま伝えることだった。広告がカルチャーに踏み込む際に生じる緊張関係を、どう扱うかがこのプロジェクトの前提条件になった。「遊び」を広告表現に落とし込もうとすると、記号化が進み、ブランドが持つ体温を失わせるリスクがある。Volkswagenがライフスタイルへのコミットメントをリアルに証明するには、バックカントリーという特殊なフィールドで、スノーボードカルチャーの文脈を正確に捉える必要があった。

演出の主軸をスクリプトに基づいた制作ではなく、出演者との相互理解を深めた上での「ドキュメント・セッション」に置くことを選択した。 ブランドがカルチャーの外側にいる「観察者」ではなく、共に楽しむ「当事者」であることを示すため、監督自身もプレイヤーとして出演者と同じフィールドに立つ判断を下している。 スポーツ的なアグレッシブさよりも、スノーサーフィン特有のメローで平和な空気感を優先し、ブランドの思想とカルチャーの自由さを統合した。ブランドは前に出ない。だが、常にそこにある。


自身のバックカントリースノーボードの経験を活かし、被写体の動きや光の質を先読みしたアングル設計を行った。 ディレクションと並行してセカンドカメラを担当し、通常のスポーツ映像では捉えきれない、雪山の呼吸と一体化した画を切り取っている。 編集では、ライフスタイルに流れる独特のリズムを重視。 サーフ・スケートと同じ文脈にある「雪山の遊び」を映像言語として翻訳し、ブランドの世界観へと接続した。

広告映像としての説得力を維持しながら、「本気の遊びを共にする」というブランドスタンスを自然体で提示することに成功した。 プロモーションサイトにおいて、ターゲット層の感性に響く一貫したトーンを確立。 ディレクターのフィールド経験が映像の「強度」に直結することを証明し、カルチャーとブランドを高い次元で融和させた。
YouTubeにて再生回数29万回。
























