


アニバーサリーという歴史的文脈を持つ大規模アリーナツアーにおいて、視覚演出には「遠方からの視認性」と「アーティストの熱量を阻害しない没入感」の両立が求められた。 楽曲が持つロックのダイナミクスを単なる装飾として扱うのではなく、演奏の起伏(導入・展開・ブレイク・頂点)を増幅させ、観客の知覚をアーティストの呼吸に同期させるための「視覚的補助装置」としての構造設計を起点とした。

セットリスト全体の流れを分析し、各楽曲における映像モチーフと構成を設計した。ライブ照明やステージデザインと連動させ、映像が音の"間"を埋めるようなリズム設計を施している。過度なストーリー性を排し、空間的な広がりと没入感を優先する判断を選んだ。


各楽曲のBPMと構成を基に、映像モチーフの切り替えタイミングを1フレーム単位で設計。抽象的な光のレイヤーは、照明プランとの色温度・輝度の干渉を事前にシミュレーションし、スクリーンと実空間の光量バランスを詰めている。モーショングラフィックスは音の質感──歪み、残響、減衰──に呼応する動きのパラメータを組み、再生ではなくリアルタイムオペレーションを前提とした構成で制作。

全50公演・総動員20万人超のツアー全体の映像演出を担当。ファイナルの横浜スタジアム2Days(7/19-20)は両日計5万人を動員。音楽の構造(強弱・間・余韻)を可視化しながら、楽曲そのものの魅力を前面に押し出すライブビジュアルを実現した。このツアーは後に氷室氏がライブ活動休止の意向を表明した節目のツアーとなった。






















