


不動産広告の映像は、空間のスペックか、暮らしのイメージか、どちらかに振れやすい。だが地域に根差したブランドが伝えるべきは、間取りでも演出された生活感でもなく、「その場所で暮らすこと」の質感そのものだった。広告としての精度を保ちながら、生活のリアリティを損なわないトーンの設計が求められていた。

映像とスチルを別の案件として切り分けず、同一の照明設計・トーン設計のもとで同時に撮影する構成を選択した。ムービーで成立する光が、スチルでも同じ質感で機能する状態をあらかじめ設計し、ブランドトーンの一貫性を先に確保している。被写体との距離は、広告的な演出に寄りすぎず、ドキュメンタリーほど突き放さない中間領域に固定した。


照明チームと協働し、各シーンごとに照度設計とアングル設計を詰めた。生活空間の自然光を活かしつつ、映像としての構造的な美しさが成立するポイントを探っている。キービジュアルはムービー撮影時の照明環境をそのまま引き継ぎ、静止画として再構成。グレーディングでは映像とスチルを横断し、空間ごとの色温度差を最小化することで、柔らかく統一されたトーンに仕上げた。

映像とスチルが同じ空気を纏うことで、ブランドコミュニケーション全体のトーンが安定した。媒体ごとに印象が散らず、地域密着型の不動産ブランドとしての信頼感を、Web・店頭・街角の大型看板まで横断的に展開。現在も掲出が続いており、媒体が変わっても印象が散らないブランドトーンとして定着している。
























