


キャッシュレス決済が生活に浸透する過程において、サービスの「利便性」という抽象概念を、いかにして視聴者の身体感覚(スピード感と安心感)へ直結させるかが構造的な課題であった。 求められたのは、説明的な機能訴求ではなく、多様な生活者が共通して抱く「決済の軽やかさ」を、記号的な反復によってブランドイメージとして定着させることである。

人物のタイプを変えながら同じフレーズを反復し、印象を積み上げる。途中にカードとレジを模したアニメ的モーショングラフィックスを挟み、理解の速度を一段上げる。最後は店舗前での集合カットで回収し、日常の中に収まる安心感で締める。物語ではなく、テンポと配置で成立させる構造とした。


撮影は全編グリーンバックで実施し、背景は店舗を別撮りして合成。重要だったのは“合成が成立する”ことではなく、“合成だと感じさせない統一”だった。特に光の方向を基準として固定し、人物と背景のキーライトの向きを揃えることで、空間が一つに見える条件を先に確定している。影と接地感、スケールはその基準に従って調整した。
モーショングラフィックスは実写のテンポを壊さない情報量に抑え、編集リズムの中に配置。最後の店舗前カットも同様に、画としての決まりより先に「生活の延長に見えること」を優先した。

TVCMとしてオンエア。機能訴求を主軸としながらも、キャラクターを通じてブランドの親近感を維持する構成が成立した。実写と合成を横断するナショナル案件において、情報設計と映像文法を両立させ、ブランドトーンを崩さず着地させた仕事となった。

















