


新ブランドの立ち上げにおいて、最初に問われるのは「何を見せるか」ではなく、「どんな空気をまとうか」だった。プロダクトの品質を語る手段は多くあるが、レザーという素材が持つ重厚さと、ブランドが志向する軽やかさのあいだには、放っておけば矛盾が生じる。"手に届くプレミアム感"と"日常に寄り添う明るさ"──その両立を、写真のトーン一つで成立させる必要があった。

モデルとプロダクトを主従関係に置かない構成を選んだ。商品を主役にすれば広告カタログになり、人物を主役にすれば服飾のイメージカットに寄る。どちらにも倒れない均衡点──人物とプロダクトが同じ空気の中で対等に呼吸する距離を、画づくりの基準とした。色ごとの印象設計を先に行い、全カットを通じてトーンが散らないよう、撮影前の段階でカラーパレットとライティングの方向性を固めている。


柔らかな自然光をベースに、補助照明でレザー表面の反射をコントロールした。革は光の当て方ひとつで表情が変わる素材であり、質感を潰さずに色味を正確に出すには、光源の角度と距離を繊細に詰める必要がある。フォーンバッグをはじめとする多彩なカラーバリエーションに対し、背景と衣装の色温度を揃えることで、鮮やかさが浮かず、沈まない着地点を探った。仕上げのグレーディングでは、彩度を上げるのではなく、光の質を整えることで「明るいが落ち着いている」という矛盾した印象を写真に定着させている。

ブランドローンチに合わせて店頭・Web・SNSにてメインビジュアルとして展開。プロダクトの素材感と色彩の魅力を、統一感のある写真トーンで印象づけ、軽やかで清潔感のあるブランドの立ち上がりに貢献した。
























