


福祉領域の映像はモデル起用による再現演技が主流だった。見栄えは整うが、現場を知る人には届かない。採用ブランディングとして機能させるには、制度や理念の説明ではなく、実際の仕事と感情のリアリティを提示する必要があった。

コンセプトは「本物の仕事と想いを伝える」。
出演者を全員、実際の職員と利用者で構成するドキュメンタリー形式を選択した。撮影スタッフを最小限に絞り、数週間かけて施設に通い続け、カメラが日常を壊さない距離まで溶け込んでから撮影を開始している。出演者はすべて実際の職員と利用者とし、演出による「正解」を求めず、生活の延長線上にある無意識の仕草や眼差しを拾い上げることで、福祉の仕事が持つ「人間的なリアリティ」を多層的に描く構造を設計した。ナレーションにはプロのナレーターではなく、オーディションで選出した役者を起用。原稿を読むのではなく、職員の姿勢に憑依するように声をのせることで、言葉にも現場の体温を残した。


特養、障がい者施設、保育園など複数施設を横断。カメラワークの基準は「寄りすぎない、引きすぎない」の一点に絞った。人と人のあいだにある距離感が、そのまま画角になるポジションを探り続けている。自然光を基本とし、照明で状況をつくらない。事前に重ねたヒアリングで築いた信頼関係が、被写体の構えを解いた。

「本物のリアリティが初めて映像化された」というクライアントからの高い評価と共に、若手応募者の心理的ハードルを下げ、業界への深い理解を促すことに成功。 福祉系のPR映像における「リアルアプローチ」の新たな基準を提示した。意図が論理的に設計されていたことで、センシティブな領域であっても「表現の誠実さ」がブランドの信頼性へと直結し、現場の職員からは「自分たちの仕事がリアルに描かれている」という声が寄せられ、採用応募の増加にもつながった。映像は現在も使用されている。
























