Unfolding

接近する視点

Not a portrait of someone, but of the structures that remain.

Black silhouette of a person holding a heart-shaped balloon.

Unfolding

接近する視点

Art Photography / Conceptual Series

同じ場所に立ち続けると、世界はわずかな揺らぎを残して変わり続ける。 Unfolding は、その“変化の層”を写真の連なりとして観察するシリーズである。 目の前の光景が、時間の堆積としてほどけていく瞬間を追った。

statement

風景の中に立っていると、同じ場面であっても
光の角度、影の伸び方、人の動き、空気の濃度が
少しずつ違う表情を見せてくる。

Unfolding は、その変化を“繰り返しの観察”として扱う作品である。
前作 Tangent Point が「世界と視線が交わる単一の瞬間」を扱ったのに対し、
Unfolding は「時間の層が重なっていく過程」を可視化する試みだった。

目の前で起きる微細な揺らぎは、
一度きりの出来事ではなく、
反復の中に潜む固有のリズムとして現れる。
私はそのリズムを“構造”として読み取り、
同じ場所を異なる時間で撮り重ねることで、
世界そのものがわずかにほどけていく様子を記録した。

写真とは、「今起きていること」と「かつて起きたこと」が
一枚の中で重なり合うメディアである。


Unfolding は、その重なりがどのように立ち上がるのかを観察するためのシリーズであり、
後に Frozen Butterfly で扱う“構造の微細化”へとつながる中間点に位置している。

CHAPTER 1 Perception

現象が層として立ち上がる

画面を繰り返し眺めていると、
同じ場所に潜むわずかな揺らぎが見えてくる。
影が伸びる角度、風の方向、人の動きの癖。
その変化を短いスパンで追うことで、
風景は“時間の膜”として立ち上がる。

一度きりの現象としてではなく、
重なり合う反復の中で世界は形を変えていく。
写真はその変化の層をとらえる装置であり、
Unfolding は“世界の時間を感じ取る”ための作品として構想された。

CHAPTER 2. Generation

反復がつくる構造をどう提示するか

Unfolding の基礎には、
“同じ場所に立ち続ける”という身体的な前提がある。
観察者が動かないことで、
変わるのは常に世界の側であることが明確になる。

影の速度、物の配置、通りすぎる人の動線。
それらの反復の差異がやがて構造として現れ、
“揺らぎそのものが風景の記述になる”という発見があった。

本作は、Frozen Butterfly の“構造の微分”へとつながる
重要な中間的位置にあり、
世界が形を変えるプロセスそのものを観察するシリーズとなった。

CHAPTER 3. Definition

写真は“時間の重なり”を可視化する

Unfolding の制作を通じて、
写真とは単なる“瞬間の記録”ではなく、
“複数の瞬間が重ねられた構造”であると捉えるようになった。

同じ場所に立ち、同じ方向を見る行為を繰り返すことで、
時間がどのように物事を変化させ、
どのようなリズムを与えるのかが見えてくる。

写真は、世界の変化を断片として捉えるだけではなく、
その変化の“軌跡”を示すことができるメディアである。
Unfolding は、世界の“持続そのもの”を描くための試みだった。

process

Structure

反復によって現れる構造

本作は、同一の場所に長い時間立ち続けるという方法から出発した。
観察者の動きを排除することで、
変化するのは常に風景の側であるという前提が揺るがなくなる。

影の長さ、光の温度、人の流れ。
それらが“繰り返し”の中でどのように変化するかを観察し、
差異が構造として固まる瞬間だけを抽出した。

Design

撮影・観察・記録の方法

私は数日にわたり同じ地点に通い、
時間帯の違いによる変化を丁寧に観察した。
単に記録するのではなく、
“変わりゆく世界の層”として捉える視線に調整していく。


変化は劇的ではないが、
積み重ねることでその場だけの固有のリズムが見えてくる。


身体を固定しながら世界を見るという行為そのものが、
このシリーズの核心となった。

Curation

選択と構成の判断軸

撮影した膨大なカットの中から、
“変化の軌跡”が最も自然に読み取れるものを選び抜いた。
表面的な違いではなく、
時間が風景に与えた“質の変化”が現れているものだけを残す。

連続した配置ではなく、“時間の揺らぎが透けて見える順序”を意識して構成した。

Context

Unfolding は、Tangent Point で扱った“交点としての瞬間”を
“持続としての時間”へと拡張したシリーズである。


観察者が同じ地点に立ち続けることで、
世界がどのように変化の層を生み出すかを記録する試みだった。

本作で得られた
「時間が構造をつくる」という感覚は、
後の Frozen Butterfly における“構造の微細化”へと直結し、
三作はゆるやかな思想の連続体としてつながっている。

Start from the Premise.

企画書が固まっていなくても構いません。
構想段階の壁打ちから、演出、撮影、技術実装まで、
プロジェクトの状態に合わせて柔軟に対応します。
Night sky filled with countless stars and the Milky Way galaxy visible above a dark silhouette of trees.
Young woman in a light dress looking up against a clear blue sky.
Silhouettes of two people on a rocky hill during a colorful sunset with a starry sky.
Hand reaching towards bright sunlight with blurred green foliage in the background.