ここは映像の作り方を書く場所ではない。
画が"それっぽい正解"に回収される前に、判断を立てるための思考を記録する場所だ。
映像ディレクターとして仕事をしている。企画を考えて、演出をして、必要なら自分で撮るし、作品によってはカメラマンにお願いする。広告の仕事としては、ごく普通の立ち位置だと思う。
5割ぐらいの発注が「映像を作る」という前提で始まる。ただ、撮影の具体的な話に入る前に、想像を巡らせる時間を多く取るようにしている。
今回の映像は、どこで使われるのか。
どのくらいの期間、残るものなのか。
一度きりなのか、それともこれから続くものなのか。
こうしたことを整理しておくと、現場での判断に迷いがなくなる。結果として、一番強い画にたどり着ける。
撮影の現場では、「どう撮るか」という判断が連続する。迷っている時間はほぼなくて、瞬間の判断と成果を同じ場にいるクライアントに見せていく仕事になる。そこには経験も感覚も必要で、僕はそのやりとりがかなり好きだ。
だからこそ、撮る前に映像コンテンツそのもののことだけではなく、全体を考えておくことを大切にしている。「今回はこう撮ろう」と自分の中で完璧にイメージしているかどうかで、演出の精度は変わる。
僕は、この「脳内イメージ」の精度を上げるために、映像制作の多くの工程を、自分の手で理解できるようにしてきた。技術そのもののためというより、判断の根拠を自分の中に持ちたかったからだ。
最近、その準備のプロセスを「前提設計」という言葉で呼んでいる。
過去作品と今の作品を俯瞰で見られるHUBとして、そして仕事の思想を少しずつ言語化していく場所として、ここをつくってみた。
撮る前に、どこで何を決めるのか。何を守り、何を捨てるのか。そういう話を、作品と仕事の両方から書いていこうと思う。
撮る前に、判断を揃える。その一点で、境界の向こう側に行けると信じている。
つづく。









